【精神向け】障害者グループホームを徹底解説!グループホームの種類もわかりやすく解説します

障害者グループホームとは障害のある方が日常生活において必要な支援やサポートを受けながら、少人数で共同生活を営む社会福祉施設のひとつです。

この記事では、障害者グループホームついて解説したうえで、精神障害者向けのグループホームのサービス内容、入居条件、費用などについて解説します。

障害者グループホームとは

障害者グループホームでは、ご家族と離れて暮らす数名の障害者の方たちが、生活支援員や世話人から食事・掃除・入浴などの日常生活を送るうえで必要な支援を受けながら、地域にあるマンション、アパート、一軒家などを利用して、自立した生活ができることを目標に共同生活をおこないます。

障害者福祉サービス「共同生活援助」のこと

障害者グループホームは、障害者の支援をする障害者福祉サービス「共同生活援助」のことを言います。

障害者グループホームの種類

障害者グループホームは、提供するサービスの内容によって、主に4種類に分かれます。

  • 介護サービス包括型
    主に夜間や休日において、自立した日常生活を営む上での相談・入浴・排泄または食事の介護といった日常生活上の援助を必要とする障がい者の方を対象としたグループホームです。
  • 日中活動サービス支援型
    重度の障害がある、または高齢であるために他の日中活動サービスを受けられない障害者の方を対象としたグループホームです。家事や相談などの日常生活上のサポートや、入浴・排泄・食事の介護サービスを提供します。
    日中の時間帯もグループホームで過ごすことができるのが特徴です。また、短期入所を併設し、在宅で生活する障害者の緊急、一時的な宿泊の場を提供しています。
  • 外部サービス利用型
    主に夜間や休日において、自立した日常生活を営む上での相談や日常生活上の援助を提供します。入浴・排泄または食事の介護などの援助は、外部の居宅介護事業所に委託している所が特徴です。
  • サテライト型
    2014年に新たに創設された制度で、グループホームの近くにあるアパートやマンションなどで生活する、一人暮らしに近い形態なのが特徴です。
    本体のグループホームで食事や他利用者と交流を持つことができるようになっています。集団生活が苦手な方や、グループホームを出たら一人暮らしをしたいと考えている方に適しています。
    利用できる期間は原則2年間です。

「高齢者向けのグループホーム」とは異なります

グループホームといわれると、高齢者向けのグループホームをイメージされるかと思います。
高齢者向けのグループホームは、その地域に住民票を持つ、認知症状のある高齢者の方を対象とした「認知症対応型共同生活介護」サービスのことを指します。

精神障害者向けのグループホームとは?

精神障害者グループホームとは具体的にどのようなものなのか、その定義や入居条件、対象となる精神疾患についてご紹介します。

精神障害者グループホームとは?

障害者グループ(共同生活援助)の中でも、統合失調症やうつ病など心の病とその障害(精神障害)がある方に対して、住居を提供し、主に夜間において、調理、洗濯、掃除等の家事、生活等に関する相談・助言、服薬支援、金銭出納帳支援、就労先や関係機関との連絡のほか、必要な日常生活上のお世話を行います。

主な精神疾患

対象となる主な精神疾患は以下の通りです。

  • 統合失調症
    統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、その原因は脳の機能にあると考えられてますが発症の原因は不明です。
    主に3つの症状に分けられます。

    ① あるはずのないものが現れる、現実にあり得ないことを事実だと信じ込む「陽性症状」
    ② 感情表現が乏しくなったり、意欲が低下したりする「陰性症状」
    ③ 理解、判断などの知的機能が障害される「認知機能障害」

    約100 人に1 人がかかるといわれており、決して特殊な病気ではありません。10~20歳代の青年期~成人期にかけて発病することが多いといわれていますが、中年期を過ぎてから病気が発覚することもあります。主な治療法として、薬物療法や精神科リハビリテーションなどの治療が行われます。
  • 気分障害(うつ病など)
    「気分障害」とは高揚したり落ち込んだりすることが普通のレベルを超えて一定期間継続する病気です。気分障害はうつ状態だけが続く「うつ病」と、躁(そう)状態とうつ状態が繰り返しあらわれる「双極性障害」に分けられます。
    うつ病と躁病は気分障害の両極にある状態です。日本人の15人に1人はうつ病を経験するといわれるほど誰にでも発症し得る病気です。主な治療法として、薬物療法と精神療法が行われます。
    うつ病は段階や症状に応じて治療が異なりますが、まずは十分な休養と薬物療法から開始することが一般的です。
  • 依存症(アルコール、ギャンブルなど)
    アルコール(物質)やギャンブル(行動)へのコントロールが効かなくなることも精神疾患のひとつです。
    依存症は治療を必要とする病気であるということを、本人・家族・周囲が理解することが治療の第一歩となります。
    他者からの非難などの厳しい現実から逃れるために、依存がより強固になる可能性があるため、家族同伴の上で依存症の専門家に相談することが大切です。
  • てんかん
    てんかんは、何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作が起きる疾患です。
    発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど、様々なタイプがあります。内服治療を行うことで、発作をコントロールすることができ、多くの人が一般的な生活を送ってます。
    発作が起きた場合の事も考え、周囲が事情を把握しておき、発作が起きた際は安全を確保して、ただちに専門家に相談できる体制にしておくことが大切です。
  • 高次脳機能障害
    高次脳機能障害は、アクシデント(交通事故など)や病気(脳血管障害など)により、脳にダメージを受けることで認知や行動に障害が生じることをいいます。身体的な外見には障害が残らないことも多く「見えない障害」とも言われています。
    以下のような症状が現れる場合があります。

    【記憶障害】
    新しい出来事を覚えたりするのが苦手だったり、すぐに忘れてしまうため、何度も同じことを繰り返したり質問したりする。
    【注意障害】
    ぼんやりして、集中力が続かなくなり、何かをするとミスをしたりすることが多く見られる。二つのことを同時にしようとすると混乱することがある。主に体の左側で、症状がみられ、食べ物を残したり、障害物に気がつかなかったりすることがある。
    【遂行機能障害】
    計画を立てて物事を進めたり、効率よく順序立てたりできない。
    【社会的行動障害】
    興奮しやすく、ささいなことでイライラしてしまう。思い通りにならないと大声を出したり、時に暴力をふるったりする。こだわりが強く表れたり、欲しいものを我慢したりすることができない。
    【病識欠如】
    自分に症状があることに気づかず、できるつもりで行動してトラブルになる。
    <参考>
    厚生労働省【精神障害(精神疾患)の特性(代表例)

利用条件

障害者グループホームを利用するためには、「障害福祉サービス受給者証」を取得する必要があります。
障害者手帳がないと利用できないと思われる方もいらっしゃいますが、障害者手帳を取得していない場合でも、障害福祉サービス受給者証を取得できる可能性があります。
障害福祉サービス受給者証は自治体により発行されます。自治体によって手続きが異なる場合があるので、詳しくはお住まいの自治体の福祉担当窓口にお問い合わせください。

対象は、以下とされています。

該当する障害

下記のいずれかの障害者に該当する方が、グループホームを利用することができます。

  • 知的障害者
  • 身体障害者
  • 精神障害者(発達障害者を含む)
  • 難病患者

障害福祉サービス受給者証が必要

グループホームに入居する際には「障害福祉サービス受給者証」が必要になります。障害福祉サービス受給者証がなければ、障害者グループホームに入居することはできません。

障害者手帳が無くても入居は可能です

障害者グループホームを利用するときに障害者手帳の提示を求められるため、障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)が必要と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、障害者手帳は「公共料金等の割引」「所得税、住民税の控除」「生活福祉資金の貸付」「手当の支給」などのサービスが受けられるようになるもので、グループホーム等の支援サービスを受けられるものではありません。
そのため、障害者手帳なしでもグループホームへの入居は可能となります。

入居対象の疾患・状態の一覧

知的障害者

  • 知的障害
    18歳までに生じるものを指し、知的能力(IQ)70未満、日常や社会生活への適応能力が低い状態のことをいいます。

身体障害者

  • 肢体不自由
    身体障害全体の約半分を占めており、左右の手(上肢)、左右の足(下肢)、体幹(腹筋、背筋、胸筋、足の筋肉等、内臓を含まない胴体の部分)に欠損や機能障害があり、長期にわたり歩行や筆記などの日常生活動作に制約を受けるような状態をいいます。
  • 視覚障害
    視覚障害は約30万人いるとされており、視力の低下だけでなく、視野が狭くなる視野狭窄も含まれます。
  • 聴覚障害・平衡機能障害
    聴覚障害は左右の耳で聞き取れる音の大きさ(デシベル)により等級が決定します。平衡機能障害は、三半規管の機能障害などにより、起立や歩行のバランスが維持できない障害です。
  • 言語障害・咀嚼機能の障害
    言語障害として、音声機能(咽頭や喉頭、構音器官に障害がある状態)や言語機能(失語症など)があります。咀嚼(そしゃく)機能の障害は、食べ物をかみ砕いたり、飲み込む嚥下(えんげ)運動に障害がある状態をいいます。
  • 内部障害
    内部障害は、人体内部の器官等の障害を言い、生命の維持や日常生活に著しい影響を与えます。
    以下の7つが内部障害として規定されています。

    ・心臓機能障害
    ・じん臓機能障害
    ・肝臓機能障害
    ・小腸機能障害
    ・ぼうこう又は直腸機能障害
    ・呼吸器機能障害
    ・ヒト免疫機能障害

精神障害者(発達障害者を含む)

  • 統合失調症
    統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、その原因は脳の機能にあると考えられてますが発症の原因は不明です。
  • うつ病
    「気分障害」とは高揚したり落ち込んだりすることが普通のレベルを超えて一定期間継続する病気です。
  • てんかん
    てんかんは、何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作が起きる疾患です。
  • 薬物やアルコールなどの依存症
    アルコール(物質)やギャンブル(行動)へのコントロールが効かなくなることも精神疾患のひとつです。
  • 高次脳機能障害
    高次脳機能障害は、アクシデント(交通事故など)や病気(脳血管障害など)により、脳にダメージを受けることで認知や行動に障害が生じることをいいます。
  • 発達障害
    先天性の脳機能障害が原因で乳幼児の頃に生じる発達の遅れをいい、知的障害を伴う場合もあります。
    主な発達障害として以下のようなものが挙げられます。

    ・自閉症(自閉スペクトラム症)
    ・アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)
    ・広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)
    ・学習障害(LD)(限局性学習症:SLD)
    ・注意欠陥多動性障害(ADHD) (注意欠如・多動症)

難病患者

  • 難病
    根本的な治療は困難であり、慢性的な経過をたどる疾患が「難病」であるとされ、福祉・介護障害者総合支援法の対象疾病(難病等)として厚生労働省のHP等で公表されています。

厚生労働省:障害者総合支援法の対象疾病(難病等)

グループホームによっては利用対象者が異なることがあります

グループホームによって、障害の種類や重症度の違いにより入所対象者が異なる場合があります。

例えば、重度心身障害者であれば日中活動サービス支援型への入居のみが可能だったり、精神障害を専門とした施設があったりします。そのため、それぞれの施設が定める障害を事前に確認することが大切です。

費用

障害者グループホームを利用するために必要となる費用には以下のようなものがあります。

障害者グループホーム利用にかかる主な費用

  • 家賃
  • 食費
  • 水道光熱費
  • 日用品等の生活費(共益費とも)
  • 障害福祉サービス利用料など

障害者グループホームでは、サービス利用料だけでなく、家賃・食費・水道光熱費・日常生活費などが必要です。
ただし、一定の条件を満たすことで家賃の一部を補助する「特定障害者特別給付」を受けることが可能です。
また、自治体によっては独自の助成をおこなっている地域もありますので、入居の際は確認しましょう。

障害福祉サービス利用料が必要

障害者グループホームでは家賃などの他に「障害福祉サービス利用料」が必要です。

サービス利用料は障害者総合支援法の自立支援給付により、原則1割負担となります。

メリット・デメリット

障害者グループホームに入居するメリット・デメリットを紹介します。

メリット

  • 自分らしい生活を送ることができるようになる
  • 基本的に食事の提供がある
  • 日常生活に必要なサポートを受けることができる
  • 友人や仲間をつくる機会がある

デメリット

  • 施設数や定員が少ないので入居できない場合がある
  • 物音や声など周辺環境が合わない場合がある
  • 共同生活に馴染めない場合がある
  • 利用料金が発生する

自分にあった障害者グループホームの探し方は?

ここまで読んでいただき、障害者グループホームについて対象条件や必要な費用などわかったと思います。
でも、いざ自分でサービスを探そうと思っても大変ですよね。
おすすめの探し方を紹介しますので、順番に見ていきましょう。

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まとめ

障害者グループホームについての知識が深まると同時に、どのような入居条件があるのか、利用の方法や料金負担額についても知ることができたと思います。

WEBサービスでも簡単に探せるポータルサイトがありますので、検索サービスや相談支援サービスを活用して自分に合ったサービスを探していきましょう。