
【グループホーム】という言葉、「聞いたことはあるけれど、よく分からない..」という方も多いのではないでしょうか。
実際にご家族やご自身が関わるまで接点がない方がほとんどだと思います。
本記事ではグループホームとはどんな場所なのか、どんなサービスを提供しているのか、詳しく解説していきます。
グループホームとは

グループホームとは、「知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフの支援のもと集団で暮らす家」のことです。(引用:e-ヘルスネット(厚生労働省))
一般の住宅に近い環境で生活することから、「施設」というより「住居」に近いイメージが適切でしょう。
グループホームの種類
「グループホームって高齢者が対象じゃないの?」と思う方も多いと思いますが、グループホームには、大きく分けて認知症の高齢者向け、障害者向け、どちらも一緒に暮らす共生型の3つがあります。
(1) 高齢者のグループホーム(認知症対応型共同生活介護)
軽度の認知症の高齢者が対象の介護施設。正式名称は「認知症対応型共同生活介護」です。
通常1ユニット5~9人の高齢者がヘルパーさんの助けを借りて共同生活を送っています。
低下した認知機能のサポートを受けながら本人の自己決定を支援し、より実生活に近い形でのケア実現を目指している介護サービスです。
(2) 障害者のグループホーム(共同生活援助)
「知的障害」「身体障害」「精神障害」「難病」の方が、世話人・支援員から生活や健康面でのサポートを受けながら共同生活を営む場所です。
地域のアパート、マンション、一戸建てなどで2~10人の共同生活を送っています。
受入れ対象とする障害種別を限定していることが大半のため、事前に確認が必要です。
(3) 共生型グループホーム
高齢者と障害を持っている方が共存しながら暮らすグループホームです。
年齢や障害の程度が異なる中、共に支え合い役割や生きがいを持ち、地域の人々と触れ合いながら、住み慣れた場所で暮らし続けられるこだわりを大切に、地域ケアの実現を目指しています。
グループホームの入所条件
グループホームは大きく分けて高齢者向けと障害者向けがあることが分かりました。
では、グループホームはどのような人が入居できるのでしょうか。
高齢者向け、障害者向けに分けてそれぞれ解説します。
(1) 高齢者のグループホーム(認知症対応型共同生活介護)
①65歳以上の方(特定疾病を原因として要介護状態または要支援状態となった40歳〜65歳の方も対象)
②要支援2もしくは要介護1以上の認定を受けている方
③医師から認知症の診断を受けている方
④地域密着型サービスの為、その地域に住民票がある方
※原則は事業所(グループホームがある場所)と同じ地域に住んでいる方が対象ですが、特例として別の地域の方も対象になることがあります。
(2) 障害者のグループホーム(共同生活援助)
①障害者総合支援法に定める、知的障害、身体障害、精神障害、発達障害、難病のある”障害者”に該当する方
②18歳以上の方(条件により15歳以上から入居が可能な場合もあり)
※身体障害者の方は、65歳未満であること(65歳になる前日までにサービス利用がある場合は、65歳以降も利用できます)
グループホームによって、対象となる障害種別や障害支援区分が限定されていることがありますので、事前に確認しましょう。
グループホームの費用感
グループホームの入居を考えた場合「費用はいくらかかるの?」「費用に対する補助金や支援制度は受けられるのかな?」と、不安や疑問をお持ちの方も多いと思います。
ここからは、グループホームの費用について解説していきます。
- 入居時には入居一時金(保証金)などの初期費用が必要
- 月額費用は大体15〜20万円
- 介護保険適用の介護サービス費と、適用外の日常生活費を合計した金額が月額費となる
- グループホームで利用できる助成制度には「高齢介護サービス費制度」「自治体独自の助成」「家賃助成の制度」がある
高齢者グループホームの費用
必要な費用は大きく分けて以下の2つに分けられます。
①初期費用:入居一時金(保証金)
これは数万円~20万円が相場と言われています。基準額が決められているものではなく、施設によっては100万円ほど必要なところもあるなど、施設ごとに大きな差があります。
賃貸住宅の「敷金」に近いもので、支払った入居一時金は、退去時に発生した経費(居室の清掃費、修繕費など)と清算され原則返金されます。
入居一時金の償却についても、施設ごとに償却期間・償却率が異なりますので、事前に確認しておきましょう。
②月額費用:毎月かかる費用
施設内での生活にかかる日常生活費と、介護サービスを受ける際に発生する介護サービス費の大きく2つがあります。
(1)日常生活費
日常生活を送る上で必要な食費や居住費のこと。介護保険の適用外のため、費用は全額自己負担となります。
また、地域や施設の広さ・充実度によって料金が大きく異なるのも、この日常生活費です。
具体的には以下の項目があります。
- 家賃
- 管理費、共益費
- 食費
- 水道光熱費
- 雑費(おむつ代や日用品代・理美容費など)
※おむつなどは施設によって持ち込みOKな場合もあります
(2)介護サービス費
グループホームは本人の出来ること・分かることを尊重しながら、必要な生活支援を介護スタッフから受けられるサービスです。専門的なケアへの対価として毎月介護サービス費が発生します。
ユニット(施設内の共同生活住居)の数、サービス提供地域、また本人の要介護度の認定内容によって費用が決定され、利用者世帯の所得等に応じて利用者が負担する割合が変動(1~3割程度)します。
また「介護サービス費」には追加で「サービス加算」が上乗せされることがあります。
「サービス加算」とは、充実したケア体制の整備や看取りの実施など、基本サービスや人員配置に加えてグループホームが追加で実施しているサービスに対して、追加で請求される費用のことです。算定している「サービス加算」は施設によって異なるため、事前に確認するようにしましょう。
【サービス加算の例】
・初期加算
入所日から30日間、施設生活になれるためのサービスに対して発生する費用。
・認知症専門ケア加算
認知症への理解がある専門スタッフが手厚いサービスを提供するための費用。
・夜間支援体制加算
夜間の巡回や夜間の緊急時の対応などを行うための費用。
・看取り介護加算
看取りを行った場合に発生する費用。
障害者向けグループホームの費用
必要な費用は「障害福祉サービス利用料」と「その他の費用」の2つに分けられます。
高齢者グループホームと異なり、敷金や入居一時金、保証金は通常ありません。
①障害福祉サービス利用料
名称の通り、障害福祉サービスを利用するためにかかる費用のことです。
利用者の障害支援区分や世帯の所得等によって異なります。(総額の1割を負担)
次の4区分の負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じない仕組みになっています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
②その他の費用
高齢者グループホームと同じく、日常生活を送る上で必要な食費や居住費などが発生します。
- 家賃
- 食費
- 水道光熱費
- 日常生活費
特に家賃は地域によって差が大きく、同じ地域でも施設によってバラバラですので、利用を検討する際にはこちらも事前に確認をしておきましょう。
障害者向けグループホームの種類
ここからは障害者グループホームの3種のサービス形態を紹介します。
サービス形態
・介護サービス包括型
朝や夕方~夜間、休日に、食事・相談・入浴・排せつ等の介護やその他の日常生活上の援助が受けられます。軽度から重度まで幅広い方が利用する傾向にあり、利用者さんが安心して過ごせるよう支援サービスを提供しています。
・外部サービス利用型
介護サービス包括型と違い、施設職員が相談や家事等の日常生活上の援助のみを行い、入浴・排泄などの介護は、グループホームが委託契約を結んだ指定居宅介護事業者が行います。比較的軽度障害の方が利用しています。
・日中サービス支援型
日中(夜間・休日以外)も援助を利用できるサービス形態で、日中に活動に行くことが難しい重度の方・高齢者が利用します。

障害者向けグループホーム(共同生活援助)は65歳以上でも入れる?
障害者向けグループホームについては、「65歳の壁」と言われることがありますが、これは一体どういうことでしょうか。
グループホームにおいての「65歳の壁」について解説していきます。
障害種別ごとの障害者グループホームの入居上限年齢
障害者向けグループホームの入居可能年齢は、知的障害者、精神障害者、難病患者の場合18歳以上であれば上限がなく、身体障害者は64歳までに入居している場合は65歳以上になっても継続して利用することができます。
では一体何が壁で問題なのかというと、身体障害者で65歳になるまでグループホームを利用していなかった方は、障害者グループホームを利用できない、という事がグループホームにおいての「壁」に該当します。
65歳以上になると、介護保険と障害福祉サービスに同一内容のサービスがある場合、優先的に介護保険サービスが適用されることになるのですが、介護保険のサービスでは生活上の支援が足りない、また自己負担額が増えるなどの理由で、障害福祉サービスの利用を望む声が多くあり、これが「65歳の壁」と言われるようになりました。
(障害者総合支援法の第七条(介護保険優先))
身体障害者の方で、高齢者の入居施設ではなく、障害者グループホームや入所施設への入居を検討されている場合は、65歳になるまでに利用を開始できるようにしましょう。高齢者の入居施設には特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護付き有料老人ホーム、介護型ケアハウスなどがありますが、順番待ちでなかなか入ることができなかったり、高額な費用を要することがあります。
グループホーム以外の障害福祉サービスにおける65歳の壁
「介護保険と障害福祉サービスに同一内容のサービスがある場合」と前述しましたが、下記のサービスは類似サービスとして、65歳になると障害福祉サービスから介護保険サービスへと適用が原則変更されることになります。
・ホームヘルプ 居宅介護/重度訪問介護 → 訪問介護
・デイサービス 生活介護 → 通所介護
・ショートステイ 短期入所 → 短期入所生活介護
障害福祉サービスでは低所得に該当する場合には自己負担額0円でサービスを受けることができましたが、サービスが移行されると1割負担は発生するため、比較して月の利用料が1万~2万円程増えることになります。
ただし国(厚生労働省)は原則として介護保険サービスを優先としつつ、「一律に介護保険サービスを優先させることなく、個々の状況に応じて支給決定がなされるようお願いする」という旨の通達を市区町村へ出しており、各自治体にその判断が委ねられています。
介護サービスが適用される場合でも、条件付きで「新高額障害福祉サービス等給付費」という補助を受けられることもありますので、お住いの自治体に確認してみてください。
自分にあった障害者グループホームの探し方は?
ここまで読んでいただき、障害者グループホームについて知ることができたかと思います。
でも、いざ自分でサービスを探そうと思っても大変ですよね。
おすすめの探し方を紹介しますので、順番に見ていきましょう。
WAM NET「障害福祉サービス等情報公表検索サイト」で検索する
公的サービスのワムネットが運営する「障害福祉サービス等情報公表検索サイト」で、住所や事業所名からご自身に合ったサービスを検索することができます。
WAM NET「障害福祉サービス等情報公表検索サイト」
障害福祉サービスの検索サービス「フクシー」で探す
民間が運営する障害福祉サービス事業所検索サイトでも、障害者グループホームを探すことができます。
見やすいサイト設計はもちろん、施設内の写真やスタッフの声などの公的機関のサービスだけでは得られない特別な情報も公開されています。
施設の担当者が自ら情報を載せているため信頼できる情報が集まるサイト設計となっており、わざわざ施設に出向かなくても知りたい情報がわかるので、ミスマッチが少なく障害者グループホームを見つけることができます。
まとめ
障害者グループホームについての知識が深まると同時に、どのような入居条件があるのか、利用の方法や料金負担額についても知ることができたと思います。
WEBサービスでも簡単に探せるポータルサイトがありますので、検索サービスや相談支援サービスを活用して自分に合ったサービスを探していきましょう。
