
障害者グループホームの入居を考える際に「入居時に費用はいくらかかるの?」「月々の費用は?」「補助金や支援制度はどんなものがあるのか」など不安や疑問を抱かれる方も多いかと思います。
利用にあたって、最初から費用感が分かっていれば安心して施設探しができるかと思います。
そこで今回は、障害者グループホームの利用にかかる費用や、家賃の助成制度、自治体独自の支援制度にはどんなものがあるのかなどについて解説します。

グループホームとは
高齢者や障害がある方の自宅での生活が困難になった際、その人が自立した生活を継続できるように支援する施設が「グループホーム」です。
グループホームは通称で、正確には「認知症対応型共同生活介護(高齢者)」と「共同生活援助(障がい者)」があります。
障害者グループホームとは?
グループホームの中でも障害がある方向けのグループホームを「共同生活援助」といいます。
障害者の自立を支える場としてサービスが提供され、障害を持つ方の日常を「共同生活」を通して支えています。
個々の自由とプライバシーを尊重しながら、生活に必要なサポートが提供されており、ホーム内では、専門のスタッフによって日常生活の支援やレクリエーションが行われています。
高齢者グループホームとは?
高齢者グループホームでは、認知症の方が入居しています。主に65歳以上の方を対象として、5~9名の定員に対して、24時間体制でケアが提供されます。
障害者グループホームでかかる主な費用
障害者グループホームを利用するにあたり、「障害福祉サービス利用料」と「その他の費用」2つの費用が必要となってきます。
まずは、障害福祉サービス利用料について簡単に解説し、「その他の費用」の中身について解説していきます。
障害福祉サービス利用料がかかります
「障害福祉サービス利用料」とは、名前の通り、障害福祉サービスを利用する際にかかる費用のことを指します。
障害者グループホームにおいても、障害福祉サービスを利用して支援を受けるため、利用料がかかります。
以下の表のとおり、障害福祉サービスには自己負担額というものがあり、所得に応じて4区分の負担上限月額が設定されています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(注1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。 | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(注2)収入が概ね670万円以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。
所得を判断する際の世帯の範囲は、次のとおりです。
種別 | 世帯の範囲 |
18歳以上の障害者 (施設に入所する18、19歳を除く) | 障害のある方とその配偶者 |
障害児 (施設に入所する18,19歳を含む) | 保護者の属する住民基本台帳での世帯 |
出典:厚生労働省【障害者の利用者負担】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html
その他の費用について
障害者グループホームを探すうえで、費用がいくらかかるのか分かりにくいのがこの「その他の費用」になります。
「その他の費用」には以下の通り、日常生活を送る上で必要な食費や居住費などが含まれます。
【その他の費用一覧】
・家賃
・食費
・水道光熱費
・日用品費
・医療費
・被服費や散髪代
・嗜好品や趣味にかかる費用
・保険料(任意)
上記、各種費用について、一般的な金額帯は以下の通りです。
家賃
一般的な賃貸住宅に住むのと同様に、家賃がかかります。地方と都市部など地域によって相場は大きく異なりますので事前に確認しておきましょう。
一般的に地方なら月2~3万円、地方都市なら月3~4万円、都市部であれば月4~6万円が相場となります。
ただし、後述しますが、国や自治体による「家賃補助制度」があるため、実際には支払う家賃はもっと少なくなります。
食費
食費はグループホームによって異なりますが、例えば一食500円とすると、朝・昼・夕の3回食べる場合、合計1,500円が必要となりますので、30日(一ヶ月)では45,000円かかることとなります。
水道光熱費
水道光熱費として月1~2万円程度かかってきます。
グループホームによっては、共益費として記載しているところもあります。
日用品費
洗面用具、収納用品など、必要に応じて費用がかかってきます。一般的に月0円~数千円程度になります。
石鹸、シャンプー、歯磨き粉、トイレットペーパーなどの消耗品は基本料に含まれていることが一般的です。
医療費
障害者医療費助成制度を利用することで大幅に減額できますが、自治体による減額割合の違いから、月数千円程度かかってしまうことがあります。
被服費や散髪代等
衣類の購入費や散髪代など身だしなみを整えるのに必要になります。嗜好品や趣味と同じように使いすぎなければ数千円程度で収まる費用になります。
嗜好品や趣味にかかる費用
食事以外のおやつやジュース、雑誌・音楽・玩具・スポーツ等の趣味にかかる費用になります。
一概に金額は提示できませんが、無理のない範囲で楽しんでください。
保険料(任意)
ホームや作業所の備品や他の利用者の物を誤って壊してしまったり、他の方に怪我を負わせてしまった時などの保険です。
月2,000円程度で任意となりますが、加入しておいた方が安心です。
家賃補助制度について
障害者グループホームでは、生活保護受給者や住民税の非課税世帯で国から月1万円の家賃補助を受けることができる「特定障害者特別給付」が利用できます。
特定障害者特別給付とは
障害者グループホームの利用者(生活保護又は低所得の世帯)が負担する家賃を対象に、利用者1人当たり月額1万円を上限に補足給付が行われます。
なお、国からのお金が支払われるのは障害者本人ではなく、障害者グループホーム側になりますので、家賃から補助額を差し引いた金額が費用として請求されることとなります。
給付を受けられているか確認したい場合は、グループホームからの家賃請求額に内容が記載されているのでそちらで確認できます。
自治体による補助金
「特定障害者特別給付」以外にも自治体によっては独自の軽減措置を行っている場合があります。
例1)千葉県千葉市
千葉市では千葉市から共同生活援助(グループホーム)の支給決定を受けている方で、生活保護の適用を受けていない方に対して、以下の通り助成しています。
市町村民税課税世帯 | 月額家賃の1/2を20,000円まで助成 |
市町村民税非課税世帯(生活保護世帯 を除く) | 月額家賃から、国制度による助成分(上限 10,000 円 )を控除した残額の 1/2を10,000円まで助成 |
例2)東京都立川市
立川市では、障害者グループホーム等を利用している方で所得が一定の額以内の方に対し、家賃の助成をしています。
なお、障害者総合支援法に基づく特定障害者特別給付費(補足給付)を受けられる方は、下記の表の区分による家賃助成額からその額を差し引いて助成されます。
利用者の所得額 | 家賃助成額 | |
区分1 | 月額73,000円未満 | 全額。ただし、月額24,000円を限度にする |
区分2 | 月額73,000円以上97,000円未満 | 半額。ただし、月額12,000円を限度にする |
例2)兵庫県神戸市
神戸市では生活保護等受給世帯または市民税非課税世帯の方。(20歳未満の場合は全ての世帯)を対象に、兵庫県・神戸市協調事業として、グループホームに入居されている利用者のうち、家賃月額が1万円超の市民税非課税世帯の方に対し、特定障害者特別給付費(補足給付)に加え、家賃月額から1万円を控除した額の2分の1で、月額15,000円を上限として家賃の一部を助成しています。
出典:神戸市【障害福祉サービスの利用者負担】
上記以外の自治体でも独自の支援を行っている場合があります。
入居先の自治体でどのような支援があるのか事前に確認しておきましょう。
自分にあう費用感の障害者グループホームの探し方は?
ここまで読んでいただき、障害者グループホームの費用や補助制度について知ることができたかと思います。
でも、いざ自分でサービスを探そうと思っても大変ですよね。おすすめの探し方を紹介しますので、順番に見ていきましょう。
WAM NET「障害福祉サービス等情報公表検索サイト」で検索する
公的サービスのワムネットが運営する「障害福祉サービス等情報公表検索サイト」で、住所や事業所名からご自身に合ったサービスを検索することができます。
WAM NET「障害福祉サービス等情報公表検索サイト」
障害福祉サービスの検索サービス「フクシー」で探す
民間が運営する障害福祉サービス事業所検索サイトでも、障害者グループホームを探すことができます。
見やすいサイト設計はもちろん、施設内の写真やスタッフの声などの公的機関のサービスだけでは得られない特別な情報も公開されています。
施設の担当者が自ら情報を載せているため信頼できる情報が集まるサイト設計となっており、わざわざ施設に出向かなくても知りたい情報がわかるので、ミスマッチが少なく障害者グループホームを見つけることができます。
まとめ
今回は障害者グループホームにかかる費用について解説していきました。
入居先を探す場合、月々の費用をイメージしておくことができれば、条件に合った施設を探すことがスムーズになります。
グループホームによる費用の違い、補助制度の活用など分かりにくい部分もありますので、相談支援専門員さんやグループホーム事業所、自治体の相談窓口を活用して自分にピッタリの施設を見つけてくださいね。
